今宵、千里の片隅で。

日本最古のニュータウンの片隅で、 画家・待井健一は今日もちくちくと制作しています。

路地裏探検

夏休みのような気持ち。

ただアトリエではない何処か見知らぬところへ出たくて、
夕刻あてもなく車を走らせた。

ビジネス街らしきの細い通路は閑散としていて、
とにかく適当に車を停め、そのまま民家の合間を縫って走り出す。

5キロ以上走って少しずつ西日が傾き始めた頃、
ふと迷い込んだ丘からこれを見つけた。
何年か前の夏に麓まで行った、古い給水塔と誰も住む者のいない団地。
間近まで行ったものの写真を撮る位置もなく、入ることも出来ないため、
長らくここは電車で下から刹那眺めるだけになり、
いつしか忘れていたのだ。

ここから見る彼らは、間近で見るよりロマンチックだった。
周りの新しい住宅群に四方を囲まれながら、もう
ずっと長い間このまま。
こういった「あの建物っていったいなんだろう」
そして「近くまで行ったらどんなだろう」という素朴な感情が
私の原点なのだと、
汗を拭きながらつくづく思った。

そして、祝日の閑散としてキャンパスから
こっそり立ち去る。




image 

日常の狭間。

DSCF1392 - コピー

夕暮れ時、付近の駅の片隅にて。

まず降りることのない駅の裏路地を歩いていたら、
思わぬ掘り出し物を発見。
駅の中心部からほんのわずか離れたあたりに、おそろしく古い
鉄筋のビルがひしめく一隅を見つけた。

夕暮れの色にさそわれるまま、
デジカメを片手にあっちの路地へ、こっちの建物へと
侵入しまくっていたが、
ここは別格の匂いがした。

こんな構造、ありえるのだろうか。
一見ただのアパートなのに、相当な高さまで階段が途中で迂回せず
一直線に続いているのだ。
下から見上げてもくらくらする感じだったので興味引かれこっそり上ってみたが、
上からの眺めはさらに想像を絶していた。

高所恐怖症の人間はこの3階には到底住めないだろう。
なにしろ普段使う階段なのに、踏み外したら一気に下まで転げ落ちそうな
急角度なのだ。

屋上も完全に解放。
新しいBSアンテナらしきものだけが、周りの朽ち果てた鉄筋から
妙に浮いていた。

いつも使っている沿線からの眺めのほんの少し奥にさえ、
こんな景色がある。
自分の身の回りというものは、まだまだわくわくするくらい
何もわかっていない。
プロフィール

待井健一

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