外を走ったのは、締め切り直後に勢い余って路地を疾走して以来だったと思う。
驚いたのは、周囲があまりにも静かで穏やかだったということ。

「あれ?音がしない」と違和感を感じるほどの、感覚のズレだった。
そして初めて気づく。
つい先日まで路地を疾走していた時、私は常に何か得体の知れない圧力に
追いかけられているような感覚であったことを。
あまりにそれが日常化し過ぎて気づかなかっただけなのだろう。

しばらくサボっていたので体力的に衰え息も絶え絶えだっだけれど、
気持ち的には何処までも行けそうな気がした。

あのような状況下で創作することが、果たして正しかったのかどうか
未だにわからない。
ムンクではないが多少風景が歪んで見えていたには違いなかった。
でも、やはりそれを「そんなもんさ」と肯定したくはないものである。
少しでも楽しんで描いてゆける、そんな道を、
例え逃げ水のようなものであっても追いかけてゆきたい。

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