「ひこうき雲」を聴きながら愛車を走らせたら、
つられるように飛行場の近くに来ていた。

何処かの駅前を行き交う人たちに紛れて歩いても、
なんだかまるで実感がなかった。

この感覚はたとえるなら何だろうと考えてみる。
こうしてただぼーっと街中に佇んでいても、
常に周りを取り囲んでじわじわと追いかけてくる得体の知れないカオナシみたい
なのが、いつになっても出てこない。
あれ?誰も追ってこないぞ?ぼけーとしてても大丈夫なんかいな。
おそらくそんな感じなのかと思う。

ショッピングモールの屋上で眼下の飛行場と遠い山々を見ながら、
ただ何をするでもなくよたよたと歩いては景色を眺めた。
テレビカメラに映っている姿は車上荒らしそのものかもしれない。

こういうことが、人生であと何回出来るだろう。起きるだろうと、
ふと考えた。
毎年の繰り返しではなくて、それには確実に限りがある。
そしてそれは私が思っている回数よりもきっと少ない。

暮れる直前に見えたひこうき雲は、
あっという間に夕闇に消えていった。
それでも私は、ずっと愛車の中で同じ曲を
繰り返す。

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