全ての作品の搬送が終わって。
そのままなんだか勢いが止まらなくて、
まっすぐ家に帰れなくて、
またもや路地の片隅に車を停めると、そのまま水筒片手に
疾走した。

こんなに世界は美しかったのかと、
普段なら到底口にできないような状態が
まさに今だった気がする。
なにか何処へ走っていってもいいような、
いつまで走っていてもいいような、
そんな無限に近い解放感。

そしてこういう時、路地勘らしきものが極限まで研ぎ澄まされるらしい。
自宅から車でわずか10分の距離に、とてつもない非現実が隠されているのを
発見した。
何十年とこの街にいるけれど、この光景は到底地元じゃあない。
夕風が渡る広い水面を眺めながら、
締め切りを終えた今日、偶然にもここへ来れたことを
心から幸せに思った。

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