雨上がり、展望台に上った。

いつもなら週末は人でごった返す緑の公園にも、
ほとんど人の気配がなかった。
古びた展望台には珍しく家族連れが一組いたが
すぐにいなくなり、
後には私一人が残った。

部屋の中で延々描き続けていると、世の中全てが澱んで
どろんどろんになっているような感覚になってゆくけれど、
ここから見ればそれは見つけられないくらい小さな点だった。
千里の片隅とはよくいったものだ、と思った。

いつだったか遠い昔、
ここから遠くの灯りのひとつを指差し何かを囁いたひとがいた。
近頃いつ何を誰としたのか段々記憶力があやふやになりつつあるけれど、
その言葉だけは何故だか忘れられない。

私も、いつか誰かにそんな事共を呟く日が来るのだろうか。



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