今宵、千里の片隅で。

日本最古のニュータウンの片隅で、 画家・待井健一は今日もちくちくと制作しています。

2014年06月

夏を目前の失踪。

夏休みでもなんでもない、平日の昼下がりの旅。
観光地にも人の気配はなく、
まして山間の寺院になど誰も訪れるわけもなく。

PCの環境音で聴いていた川の流れとカジカの声を、久しぶりに生で聴いた。
木々も、もうすっかり夏。
軒に腰掛けて、暫くの間誰もいない境内の水音に耳を澄ませてみる。

追われないことと時間を気にしなくていいこと。
それだけで既に非日常甚だしいのに、漂う香の匂いがさらに
遠くへと誘ってくれるよう。

遠くにダムが見える。
いつぞや世界の終わりのような思いで
ダムを照らすオレンジの光を、ただ陽が沈むまで
見つめ続けていたことを思い出す。

なんだろうか。
ほんの4、5年前の話なのに、随分遠くへ歩いて来た
気がする。
山間の温泉に心ゆくまで沈んだ後、
もう既に頭に浮かびつつある風景を、これからどんなふうに描いて
ゆこうかと考え始めた。




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終わりと始まり。

「ひこうき雲」を聴きながら愛車を走らせたら、
つられるように飛行場の近くに来ていた。

何処かの駅前を行き交う人たちに紛れて歩いても、
なんだかまるで実感がなかった。

この感覚はたとえるなら何だろうと考えてみる。
こうしてただぼーっと街中に佇んでいても、
常に周りを取り囲んでじわじわと追いかけてくる得体の知れないカオナシみたい
なのが、いつになっても出てこない。
あれ?誰も追ってこないぞ?ぼけーとしてても大丈夫なんかいな。
おそらくそんな感じなのかと思う。

ショッピングモールの屋上で眼下の飛行場と遠い山々を見ながら、
ただ何をするでもなくよたよたと歩いては景色を眺めた。
テレビカメラに映っている姿は車上荒らしそのものかもしれない。

こういうことが、人生であと何回出来るだろう。起きるだろうと、
ふと考えた。
毎年の繰り返しではなくて、それには確実に限りがある。
そしてそれは私が思っている回数よりもきっと少ない。

暮れる直前に見えたひこうき雲は、
あっという間に夕闇に消えていった。
それでも私は、ずっと愛車の中で同じ曲を
繰り返す。

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個展開催のお知らせです。

(個展終了まで、この記事が先頭に表示されます)

今年も神戸大丸にて、個展を開催させていただきます。


◆会期:2014年 6月18(水)~24(火)

◆会場:大丸神戸店 7階 アートギャラリー

◆作家在廊予定日:
6月19(木)・20(金)・21(土)・22(日)
14~17時

時計塔がそびえ、たゆたう魚と迷路のような路地の町。
今回は不思議の町に暮らす女の子たちがテーマとなっています。
立ち寄った者から見れば非日常な街並みであっても、
そこにはふつうの生活があって、
日々何かを想い、時折窓からの景色を眺めたりしながら
暮らしている。そんなひとコマを
綴っています。
今年は念願の尾道をはじめ、郡上八幡や滋賀の沖島など
少し遠くにも足をのばし、
そこで見つけたもの・感じたことなども
閉じ込めてみました。

ご都合よろしければ、
是非足をお運びくださいませ。
ご来場、心よりお待ちしております。

koubeten2014high 

一瞬の空白。

大きな階段で西日を浴びながら、疲れの余りか珍しく作品論を
語ってしまった。ここから見る対岸の景色と空への憧れは、初めて訪れた時から
何ら変わらない。

何故だか仕事帰りに、ふと母校の前をかすめて大回りして帰った。
140時間かけて描いた古い柿の樹は、まだ暗闇の先に植わっているのだろうか
などと思いつつ。

締め切り前日、普段なかなか出来ないことをと思い贈った父の日ギフトの
反応は、予想し得る最悪の反応を以てしても遠く及ばない、
心無いものだった。 

不毛地帯やらジョジョやらガンダムUCやらをぎゅうぎゅうに詰め込んだ「戦闘用BGM」から
ようやく解放された。槙原さんの「君の名前をよんだあとに」を聴きながら
京都の下道を走ると、視界も思考もなんだかぼうっとした。

そんな個展の直前の日々。
自分のやっていることに、ほんの少しでいい。
確信が持ちたい。

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終わりの光景。


全ての作品の搬送が終わって。
そのままなんだか勢いが止まらなくて、
まっすぐ家に帰れなくて、
またもや路地の片隅に車を停めると、そのまま水筒片手に
疾走した。

こんなに世界は美しかったのかと、
普段なら到底口にできないような状態が
まさに今だった気がする。
なにか何処へ走っていってもいいような、
いつまで走っていてもいいような、
そんな無限に近い解放感。

そしてこういう時、路地勘らしきものが極限まで研ぎ澄まされるらしい。
自宅から車でわずか10分の距離に、とてつもない非現実が隠されているのを
発見した。
何十年とこの街にいるけれど、この光景は到底地元じゃあない。
夕風が渡る広い水面を眺めながら、
締め切りを終えた今日、偶然にもここへ来れたことを
心から幸せに思った。

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プロフィール

待井健一

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