ついに迷い込んだ、「2番目に好きな映画」のロケ地。

一番が小樽なら、ここもまた、勝るとも劣らない坂と路地の町。
そして間違いなく今まで訪れた中で、最も自分の描いている空気感に近い場所だった。
小樽同様、何故にもっと早くに訪れなかったのかと自問してしまいそうだが、
やはり憧れが強すぎる場所ほど実際に訪れるのは怖いもの。

主をなくして、縁側にただ猫がいるだけの廃屋。
路地と路地に挟まれたようにして建つ、いびつな民家。
ぐねぐねと生き物のように曲がりくねりながら上下する細い路地。
踏み込んで5分と経たずして「次はいつ来よう」と先を見てしまうような、
至福の空間に私はいた。

ずっと北のほうにばかり移り住みたいと憧れていたけれど、
この海辺の町は、あっという間に私の心をかっさらった。

えいやと飛んでゆくフットワークはないけれど、
とりあえず向こう数ヶ月はここの資料と空気で描けそうな気がする。

DSCF8534