今宵、千里の片隅で。

日本最古のニュータウンの片隅で、 画家・待井健一は今日もちくちくと制作しています。

2013年06月

もしも。

最後の作品が手元から離れた。
その勢いからか、何年ぶりかに
懐かしい坂の街からの景色を眺めている。

街を一望する丘のてっぺんに、突端に突き出たような小さなマンションがある。
ベランダからは毎日はてしなく広い空と
どこまでも続く街並みが眺められるのだろう。

いつだったか、ここでの暮らしを
思い描いたことがあった。
けして平坦な時代ではなかったけれど、
それでもそんな夢想をしているひとときは
とても幸福に思えた。

宝くじが当たることもなく、
そんな夢はいろんな角度から棒倒しのように崩れていったけれど、
それでも今なおここに何かしらの甘美な記憶だけが残っている。画像1

こんな日は。

時折この眺めが見たくなる。
家の付近ではごく珍しい、のどかな田園が広がるこの地域。
こうして見ると、どこか旅先の土地のようにさえ思える。

散歩から帰ると、街灯りがちょうど少しずつ灯り始めたところだった。
ふと、このすぐそばで車とパンダの話をしたことを
思い出す。

人と人というのはそれっきりじゃないことを
感じられた瞬間は、
なんだかこの眺めの先が確実に何処かに繋がっているような
気持ちにさせてくれる。

IMG_3193


プロフィール

待井健一

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