今宵、千里の片隅で。

日本最古のニュータウンの片隅で、 画家・待井健一は今日もちくちくと制作しています。

2013年03月

うららか。

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春の陽気の中、再び路地へ。
思えば教職以外でこうして一人写生するのはいつ以来か。
追われる感や気負いとは無縁のところで、
ただ遠くのトランペットと鳥の声を聞きながら
黙々と筆を動かす。
不思議といつも後半追い込みでかける「戦闘BGM」なるものも
必要なかった。
本来はこういうものなのだろう。

昼下がり、すぐそばの門が開いて、
感じのよさげなおばあさんがこちらにきて
話しかけてこられた。
なんても薬学をされていた時分に、薬として使えるか否か覚えるために
植物を描きまくって以降、絵を描き続けているという。
ただ世間話をしたいだけの「通りがかりさん」とは明らかに違った空気。
そして完成したら記念に写真を撮りたいので、うちにいらしてと
言われその場を去られた。

夕刻、ほんとにいいのかいなとインターホンを鳴らすと、
ご主人が出てこられ中へ招かれた。
このような展開はまったくもって初めてなので
現実感がないまま、初対面のご夫婦のリビングに通される。
あたり一面に絵画が飾られていた。

もっとクラシックな絵を描かれるのかと思ったら、
テクスチャ作った上でかなりかっこいい色使いと、そして
キュビズム。若者顔負けにかっこいい。
西日が傾く中、まもなく咲き始める桜を見ながら
3人で珈琲を飲みながらの不思議で素敵な時間だった。

「こんな(身近な場所が)ところが絵になるなんて」と
しきりに言ってくださっているのが、何より嬉しかった。
写生をしていて一番嬉しいのは、きっとこういう感動を
覚えていただける時なのだ。
きっと徒歩3分の圏内にだって、はっとする景色は
あるのだから。

課題は山積でまだまだ思っているものには遠すぎるけれど、
とりあえず近年の写生の中では一番時間をかけた(おそらく8時間強)作品。




繋がり。

 気がつけば見知らぬ空。そんな感じだ。
まだ遠くに雪を抱いた山々が見える。

幾度か訪れたこの土地はとても静かで、
空が広くて。
黒い服を着て慌しく行き交う人たちを見て、
なんだかここ数年毎年この光景の中にいることを
改めて思った。

3月に入ってからのこの10日余り、
諸行無常の4文字を感じずにはいられない。

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春の漢旅。

とても懐かしく愛おしい景色。
黄砂で遠くが霞む中、
ゆっくりとタンカーがゆく。

港からも中心地からも孤立した別荘地には、山羊の鳴き声以外音がないように
思えた。

風通しのいい友人、という言葉を、
いつかどこかの漫画で覚えた。
年々その小さな輪を大切にしようと
思うようになった。

繊細と馬鹿を両方露呈しても
許される環境というのは、
そうはない。

霞むコンビナートの向こうは、
もう春だ。画像1

生か死か。

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急に設定がおかしくなり、「なんと使えないブログ・・・」とほったらかしにしていたが、
この機に復活。

この3日、水槽立ち上げ5年目にして最大最凶の危機と闘っている。
浄水器にて給水後、翌日90㎝水槽が地獄絵図と化した。

水底に沈んで口を開けたままのもの。
水面に腹を向けて漂っているもの。
のた打ち回るもの。
大げさではなく、思わず腰を抜かしそうになった。

ピンクテールカラシン。
メチニスのペア。
そして幾多の入手困難及び飼育困難を乗り越えて大きく育てた
レトロピンニス3匹。
長い間大事に大事に育て上げてきた彼らが、
私の目の前でみるみる物言わぬ塊と化してゆく。

思い当たる節はあるが、しかし冬場のこの状況下で
しかも頻繁な手入れをしていて、
よもやまさかこのような事態になるなど、夢のまた夢にも
思ってはいなかった。

連日彼らを埋めに、自らの聖域である裏山に通った。
私が物心ついた時からずっと見ていた、
そして今なお一番心休まる景色の見渡せるこの小さな裏山に、
小さなスコップで穴を掘り埋めてゆく。
もうなんだかやりきれなかった。

そして今なお危機は去っていない。
馴染みのペットショップに聞き、本を調べ、ネットを調べ、
それでもなお確たる原因も対策も掴めておらず、
アトリエは緊急病棟24時のような有様が続いている。
塩のパーセンテージを調べ、薬の耐性を調べ、
しまいには網で掬い押さえつけて患部らしきの消毒も
行った。

全滅か。
生存か。
既に最愛の子を失ったメチレンブルーの水槽で、
生き残りを賭けた最後の闘争。
プロフィール

待井健一

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