2012年11月
11月16
11月14
帰阪翌日。
久しぶりにお気に入りのカフェにて日記を書く。
珈琲に珍しくケーキもつけて、
手首が痛くなるまで2時間以上日記と修行帳とに
かりかりとペンを走らせた。
観葉植物とコンクリートに囲まれた小さな空間に、
薄暗い間接照明が落ちている。
珈琲の湯気が薄灰色の窓辺に溶けていた。
約3年の間書き連ねた白い日記帳が、
今日ここで終わりを告げる。
ペンで書いただけなのに、最初に比べ随分と厚みが
増して見えた。
3年前と今とのあまりに大きな環境の違いに、
時の流れの大きさを感じた。
そして、
環境が変わったわりに大して成長していない自分を、
もう何冊目の日記なのか、
巻末で恥じた。
しかし唯一成長したかもしれないのは、
「もう手遅れ」という諦観から少し遠ざかったことくらいか。
何事も思いついたり思い出したりした今日この瞬間から
また始めればよいのだと、
そんなふうに思えるようになった。
日記を閉じてひと息ついた瞬間、
奥にいる女友達同士らしきが、
「実は今の彼って顔が好みだったの」という会話だけが
耳に飛び込んできた。
そんな休日の午後。
11月4
11月3
最後にここに来たのは、
もう何年前だったか。
劇場で映画を観た直後に
ロケ地を訪れる不思議と、
すういえば以前は個展が終われば
よくここに来ていたという懐かしさと。
ぴよ〜んという眠りを誘う音楽の
流れる中、
ソファーに寝転がって球体を見上げた。
思いきったことをしたものだと思った。
仕事を夕刻に終えてそのまま
新幹線に飛び乗り、
気がつけばレインボーブリッジを眺めていたような、
そんな旅だった。
自然光の射し込む白いギャラリーの中で、
その作品たちは、
あたかも息をして語りかけてくるかのようだった。
窓越しの大きな木。
秋の乾いた空。
今までこんなふうに衝動で飛んで行ったことはほとんどなかったが、
今頃自宅で「もしも」を想像しながら過ごすよりは、
きっといい人生だ。
再びこちらで個展がしたいと
思った。
プロフィール
待井健一
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