今宵、千里の片隅で。

日本最古のニュータウンの片隅で、 画家・待井健一は今日もちくちくと制作しています。

2012年11月

風化する。

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いつになく肌寒い昼下がり、
普段通らない坂を下った。
風にさらされた
取り壊し秒読みの団地群は、
さながら遺跡のようだった。

最近軒並みカーテンも窓枠もない団地が増え、工事の騒音がもうすぐそこまで近づいている。
自分がこの町を離れる頃には、
周りの景観は、もうすっかり
違う何処かに変貌しているのだろう。
そう思うと、
今年の冬の千里がいつになく愛しく思えた。

思えば作品に影響してきているのだなあと、
当たり前のことを感じてみたり。

<次世代へ連鎖する想像人 作品展>

fanta



<グループ展参加のお知らせです>

(展示が終わるまでこの記事が先頭に表示されます)


職場である、成安造形大学の作家による作品展です。
私も前回西宮個展未公開の新作を含む6点を
展示させていただくことになりました。
会場は京都大丸さんです。

ご都合よろしければ、
是非秋の京都観光もかねてお越しくださいませ。

ご来場、心よりお待ち申し上げております。


*会期:2012年 11月7(水)~13(火)

*会場:大丸京都店 6階 美術画廊・アートスポット

*時間:10:00~20:00(ただし最終日は17:00までです)

*作家在廊日:11月8(木)3時~6時頃
             10(土)2時~6時頃    *在廊日・時間帯は予定です。
          

書き続けた人間は何者かになったのだろうか。

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帰阪翌日。
久しぶりにお気に入りのカフェにて日記を書く。

珈琲に珍しくケーキもつけて、
手首が痛くなるまで2時間以上日記と修行帳とに
かりかりとペンを走らせた。

観葉植物とコンクリートに囲まれた小さな空間に、
薄暗い間接照明が落ちている。
珈琲の湯気が薄灰色の窓辺に溶けていた。

約3年の間書き連ねた白い日記帳が、
今日ここで終わりを告げる。
ペンで書いただけなのに、最初に比べ随分と厚みが
増して見えた。

3年前と今とのあまりに大きな環境の違いに、
時の流れの大きさを感じた。
そして、
環境が変わったわりに大して成長していない自分を、
もう何冊目の日記なのか、
巻末で恥じた。

しかし唯一成長したかもしれないのは、
「もう手遅れ」という諦観から少し遠ざかったことくらいか。
何事も思いついたり思い出したりした今日この瞬間から
また始めればよいのだと、
そんなふうに思えるようになった。

日記を閉じてひと息ついた瞬間、
奥にいる女友達同士らしきが、
「実は今の彼って顔が好みだったの」という会話だけが
耳に飛び込んできた。
そんな休日の午後。

今でも

いつも夏には遠くまで車を飛ばし、
ブルーベリー畑を見ながら陽が暮れても語り合ったものだが、
久しぶりに随分と間が空いた。
もう秋も終わる季節に、
美味い地酒を酌み交わす。

活力と共に、
人生とは何故にこうもぞくぞくするほど
不思議て途方もないのだろうと
思った。

不思議なのは、
なにも遠くの誰かじゃあない。
もしも、という言葉の曖昧で心地よい響き。
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気がつけば湾岸。

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最後にここに来たのは、
もう何年前だったか。
劇場で映画を観た直後に
ロケ地を訪れる不思議と、
すういえば以前は個展が終われば
よくここに来ていたという懐かしさと。

ぴよ〜んという眠りを誘う音楽の
流れる中、
ソファーに寝転がって球体を見上げた。

思いきったことをしたものだと思った。
仕事を夕刻に終えてそのまま
新幹線に飛び乗り、
気がつけばレインボーブリッジを眺めていたような、
そんな旅だった。

自然光の射し込む白いギャラリーの中で、
その作品たちは、
あたかも息をして語りかけてくるかのようだった。

窓越しの大きな木。
秋の乾いた空。
今までこんなふうに衝動で飛んで行ったことはほとんどなかったが、
今頃自宅で「もしも」を想像しながら過ごすよりは、
きっといい人生だ。

再びこちらで個展がしたいと
思った。

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待井健一

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