今宵、千里の片隅で。

日本最古のニュータウンの片隅で、 画家・待井健一は今日もちくちくと制作しています。

2012年09月

京風?

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ちょっとめずらしい画風で制作中。
最近和金がちょくちょく登場するようになってきた。
以前はいわゆる「小赤」といわれるタイプが多かったが、
こちらのほうが優雅なのと、
どうも小赤はうちの子たちの餌というイメージが
ぬぐいきれず。

やはり制作ペースを途切れさせないことは、
ごくごく当たり前のことではあるけれど重要だなあと痛感した。
スポーツ選手に例えたどこかの誰かの言い分は
ある意味的を得ている。
描くからこそ考えるし、
考えるからまた描く。
うまく循環すればよいのだが。

しかし不安はある。
昔から私は、ひとつのことに熱中し始めると
他が全てお留守になる。
ひとつの物事に向けて回りだしたエンジンを、
なかなか止められないのだ。

嵐の夜に盛り上がって制作のはずだったのが
完全に無風状態になってしまったことだけが、
不謹慎ではあるが残念でもある。

とっておき。

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徐々に高さがせりあがるホールも、
吊られた照明も、すぐ前に見えるオケピも、
そして上から降り注ぐ様々な色の照明もせりふの途中で
始まる歌も、全てが懐かしくて。
そんな感情と、もう何年もアトリエで創作のお供に聴き続けてきた
坂本真綾さんがほんの10メートル前で生身で歌うという
超非現実とで、最初の20分あたりはあれやこれやで
集中できなかった。

さすがに目の悪い私でも、どのような目鼻立ちをしておられるかまで
見える位置だったので、ある意味聞きなれた声ではあっても、
努力しなければそれがご本人だとは認識しきれなかった。
なかなかに得がたい体験をしたものだと思う。
持つべきものは人のご縁。
ファンクラブの幹部(?)さんに、心から感謝したい。

そしてなんだろう。
大きな感動と同時に、このほんのほんの10000分の1であっても、
舞台に立ち踊り歌いみんなで芝居を作り上げた時代があった
ことを、心から嬉しく、そして懐かしく思った。
大きな回り道といわれても、やはり没頭したこと自体に
確かに価値はあったと。

あの熱くて眩しい照明。小劇場より濃い目のメイク。
お腹から出す朗々とした歌い方。
母校を訪れて一番思い出深いところはどこですかと聞かれたら、
不謹慎な私はきっと制作室ではなく大講堂だというだろう。
膠の匂いより、あの独特の埃臭いホールの匂いに
涙するに違いない。

本来あるべき姿。

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いよいよ秒読み。
最後に送る作品の手直しに追われる。

今回加筆や修正を行った作品が多くなるけれど、
これもやりだしたら止まらないということを、
改めて思い知った。
今までどんどん新作、とにかく先へ、ということしか
考えていなかったが、
いざやってみると意外に楽しい。

たった半年でも、いわんや一年前二年前のものともなると、
一見しただけで最低限ここをこうすればというのが
すぐに浮かぶことに驚いた。
毎日過ごしていると実感なかったが、
少なくとものろのろと進歩しているのかもしれない。

このあたりの作品、昔から見てくださっている方々は
どのように思われるだろう。
「え?どこが変わったの?」となるかもしれないし、
「全然別の作品やん」となるのかもしれない。
が、本人には客観的に見えるわけもなし。
おそろしい半面それが興味でもある今日この頃。

「本来こうなるはずだった」というイメージがあったとして、
塗り重ね塗り重ねしてそこまでたどり着けたものが
あったのが、今回の大きな収穫。
ほんのちょっといじるだけで、少しずつじわりじわりと
前進する感じ、
私は好きだ。

虚像。

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一軒家が密集する中に、ぽつんと取り残されたような
旧型の団地。
ずっと昔、絵画教室のチラシを配って回っていた際に偶然見つけた
この場所も、ついに工事現場のフェンスが張られた。
その頃は確かまたランドセルを背負って帰ってくる子がいたり
した記憶があるのだが、
今は全ての窓から西日が透けていた。

一番端っこの棟の2階踊場に人影があった。
見るとジャージ姿の中年の女性が野良猫に囲まれて、
虚ろな目をして座り込んでいる。
ここの住人だったのだろうか。
見ればそこにだけまだごちゃごちゃと生活の道具らしきが
置いてあった。

ぴくりとも動かない犬がいると思ったら、
それも置物だった。
西日が射しても陽のあたらないいっかくで、
またひとつ役目を終えたコンクリートの箱が消え去ろうとしていた。

まもなく阪急展の幕が開ける。
描けども描けども落ち着かない。
それなのに、こんなにも抜けるような青空と秋の風。

青春したいのか。

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アトリエで仕事をしながらふと窓際に目をやると・・・

カーテン越しに西日を浴びた3匹。
お互いにも飼い主にも無関心な子達なのに、
何故かこうして見ると仲良さげに見えるのは私だけだろうか。

思えば60㎝水槽の時は壁に完全に隠れていたので、
こんな光景はありえなかったのだ。

こやつらは、
私の知るべくもない南米の奥地で、
きっとこんなふうに西日を受けていたのではあるまいか。

それにしても、シルエットから明確に読み取れることがあった。
奥の2匹はレトロピンニスという同じ種類だが、
手前が自宅水槽でちっちゃい頃から育てたもの、
奥が野生でかなり大きくなったのを購入したもの。

これはほとんどの種類にいえることだが、
野生のほうがたいてい鋭い形をしている。
うちの子に限っていえば、野生の子のほうが
胸鰭も一回り以上大きい。

重宝されるのはワイルドものというが、
私の場合愛着がそれに勝る。
このなんとなくころんころんと丸いラインの
ぴん子が、私は大好きだ。
プロフィール

待井健一

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