今宵、千里の片隅で。

日本最古のニュータウンの片隅で、 画家・待井健一は今日もちくちくと制作しています。

2012年07月

今だから振り返れる。

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夜になり気がつけばこんなところにいた。
緊張したり感動したりあれこれしてそのまま病院に行って
帰るはずが、
なんだかすぐには帰れなくて。

私が黒い服を着るようになるきっかけとなった洗濯機と乾燥機、
まだあった。
今でも洗ったら徐々に黒くなるんだろうか。

隣の保育園はもう真っ暗。昼間のきゃーきゃーが嘘みたいだ。
扉付近の床を見て、思わず笑ってしまった。
青いラッカースプレーの跡が、
15年以上経った今でも、くっきり残っている。
もう知っている住人もいないだろうに、
なんだかこれを見るとあの時のまんまみたい。

階段を降りると、なんだか普通にこの下宿から
ふらりと買い物に出かけるような気分になれた。
京都の夏は暑いから、近くでアイスを買って桂坂に上がろうか。
麓の銭湯を通り越して、煮詰まった脚本の続きを考えながら何もない
丘陵地を流してみようか。

色々あれど、とにかくこれでいったんはひと段落したのだ。
たまにはそんな妄想も良いではないかと自分に言い聞かせてみる。

いつぞや職質をかけられたのに懲りたか、
母校はただ外から眺めるだけにした。
きっとあのぼろぼろの踊場では、今も煮詰まった誰かが
煙草を吸ってニュータウンの夜景を眺めているに違いない。

20年前の自分よ。
ついこないだ、もう逢えないだろうと思っていたひとに逢えたよ。
四条大橋の袂で撮影したり、日本画棟で駅近くのカフェで夜遅くまで
いろいろ話したあの時のままだった。
なんだか自分が青春という文字を額に書いて歩いていたような時代のことが、
溢れるように思い出された。
生きているといろんなことがあるね。

私のお気に入り。

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約半年ぶりの来店にて、ちょっと豪華にお買い物。
京都北山にあるH・スミノさんは、もうかれこれ15年近く通っている
洋菓子店で、京都に下宿していた際はほんとうによく通ったものだった。

洋菓子修行時代、かれこれ15回近く通ったら奥さんに顔を覚えてもらって、
京都を離れる際にご挨拶したら、たくさんの励ましの言葉と共に
焼き菓子をあれもこれもと沢山サービスして詰めてくれた。

あれから干支一回り以上。
洋菓子をやっていたことのほうが今やすっかり非現実になってしまって、
それでも半年に一度のお楽しみに通っている。
修行させてもらった錦市場直近の名店がなくなって以来、
京都で買うとなるとほとんどがここばかりだ。

ひとつひとつ非常に手が込んでいて、
食べるたびに何が出てくるんだろうという楽しみと、
子供にはちと厳しいかなと思う、他では味わえない複雑なおいしさに惹かれて
かれこれこんなに経ってしまった。

足しげく通った20代の自分が時折思い出されて、
奥さんの変わらない笑顔を見るたび、ちょっと切なく懐かしくなる。

残存した奇跡の空間。

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まさかのまさか。
個展に来ていただいた方、この写真をご覧になって
「あっ」と思われるのでは。

足を踏み入れた瞬間(勿論不法侵入)、
今まで探検した中で一番現実感がなかったかもしれない。
本当に自分が描いている作品の中に入ったかと、大げさでは
なく思った。

中央の吹き抜けに金木犀こそ生えていなかったが、
この雑然とした感じ、何より透明のトタンらしきを通して
差し込むセピアのような光が、
思い描いたイメージそのものだった。
住人に見つかってそそくさと退散するまでのわずか数分間、
必死でシャッターを切った。

もとはといえば、締め切りがだいぶ差し迫ってきた頃、
偶然ネットで「軍艦アパート」なるものの存在を知ったのが、
私のアパート熱に火をつけた。
明らかに違法建築なれど、住人たちが思い思いに自分の住処をアレンジし
増殖させた結果生まれたカオスのような建築に、
私はひと目で心奪われたのだった。

縮小版とはいえ、この構造はきっと同時代のものに
違いないと思った。
周りはなんのことはない住宅街であることを思うと、
出逢えたのはまさに奇跡だったのだろう。

「絶対描いてやるからな」
そう誓うと、一人通るのがぎりぎりの急階段を
かんかんと鳴らしながら駆け下りた。
これだけ興奮したのは、ここ数年路地裏を探検していて
久しくなかっただろう。

本日空白時間。

5a4b303e.jpg雷鳴が響き、厚い雲がゆっくりたなびいてゆく。
いきなり前の車両さえ見えないくらいの豪雨に見舞われたかと思うと、
急に晴れ間が覗き、絵に描いたような真っ白な入道雲が行く手に現れた。

湯船に浸かりゆっくり目を閉じると、
雨粒がひっきりなしに顔を濡らす。

ここからの眺めは数年前からずっと変わらない。
田舎の古い家屋と農道と沢山の緑と。
誰も景色に目もくれずにいるので、
一人露天に片足を浸けながら鮮やかな木々を眺めた。

再び嵐の中へ漕ぎ出す前に、束の間こんな時間が欲しかった。

日記帳を紐解いてみよう。
夕暮れにはソフトクリームを食べて、
今までのこととこれからについて
ゆっくりと思いを馳せてみたい。

たまにはこんなの。

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夜中にこんなもの食べたり飲んだりしてはいけません。
と身体と理性は言うのだが、
とにかくもう何か仕事ができる状態でもなかったので、
たまにはと思ってやってしまった昨夜の図。

夏に飲むにはちょっと「うぷっ」ときそうな濃いテイストのビールだった。
さらに普段食べれない値段の濃いアイスを組み合わせると、
濃厚ささらに倍増。

大学時代、「いつもアイス食べてますね」と言われてたのを
思い出す。
そういえば一日一アイス以上食べていた気がする。
そして何故か思い出すのは、決まって「ハニワ池」という、
ピラニアのような鯉が住み着いた池のほとり。
なんだか変な青春の1パージとして刻まれてしまっているらしい。
プロフィール

待井健一

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