今宵、千里の片隅で。

日本最古のニュータウンの片隅で、 画家・待井健一は今日もちくちくと制作しています。

2012年07月

せめて絵の中だけは穏やかに。

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再始動一作目。早くも2作同時進行の予定で。
これが雪ダルマのように、こないなの如く20作同時に
ならないことだけを祈りつつ。

どんどん山は険しくなる。
前回ですら体調を壊して最後は不眠不休でギリギリだったのに、
それ以上のハードルを一年以内にクリアできるのか。
今回は終わりと次の始まりがほんとに継ぎ目ない。
足元を見ると文字通り竦んで動けなくなるので、
とりあえず前に手をかけなければ。

一年中気が休まらないのは、きっとどの仕事でも
同じなのだろう。
ならば自分自身どうやってその気持ちの連鎖を
いったん断ち切るか。
描いていれば安心。
描かなければ不安。
それがきっと周りの環境に少なからずよからぬ影響を
与えてしまっている。

前回終了間際に目覚めた「軍艦アパート」をはじめとする
古い建物熱は未だ冷めずにいる。
データを撮ることもなくあっという間に手元から飛び去っていった、
あの金木犀の作品を思い出しながら、
じりじりと筆は進む。

青春キャンバス。

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住宅事情によりトンテンカンカン大工作業は基本屋外で。
しかし屋外でキャンバスを張るのはなんとも楽しい。

展望台の下に愛車を停めて、お気に入りの眺めを横目にしながら
キャンバスを引っ張って木枠に打ち付けてゆく日暮れ時。
遊び疲れた大学生らしき集団が「何やってんだ」みたいな目で
通り過ぎてゆく。

私にとって当面の難敵、現在最大サイズの30号。
大学時代はそれでも100号近いのを描いていた記憶があるのだが、
それは制作期間が2ヶ月以上もあっての話。
自宅には、室内に入れるには無理があるのではないかというサイズの
イーゼルが鎮座しているが、
それにこやつを設置するとかなりの圧迫感になる。

丘から見渡す一面の夏雲。
白いキャンバス。
もうまもなくン十歳になろうというのに、
文字面だけ見ると立派に青春してしまっている。
ここから次の闘いが始まるのだ。

幾度夏が来ても。

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毎年ここで夏の雲を見て「わあっ」って言っている気がする。
おそらくまとめていろんなものを買出しに来て、
ちょうど空が開けたここで足を止めることが多いためか。

去年鳥取の旅館に忘れてきたポロシャツの替りを補充すべく
あちこち回って、しかし結局ユニクロのグレーのポロに一目ぼれして
購入。
近年最大の誤算は、せっかく珍しくこだわって買ったポロシャツ達が、
のきなみサイズが合わなくなってしまったこと。
肩のサイズがまず合わなくなり、腕周りも窮屈で通気性がなくなってしまった。
要は着ていて明らかに窮屈になってしまったのだ。
痩せれば済むという問題ではないため、
あまりにひどいものは箪笥に泣く泣く眠らせてしまった。

当初の目的は、本当に、
「いつか復帰する舞台のため」だった。
久しぶりに舞台に立ったその時に
「たるんでるやないか」と言われたくなかったがために、
ずっと備えていたかった。

いよいよそれが現実的ではないことがわかってきてはや
数年。
私は未だにひいこら言いながら汗を流している。


やりやがった。

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ついに姿を現しやがったか、という感じ。
古い団地と夏空のコントラストに、空を遮るような形で生えてきた。

何故か蘇る記憶がある。
真冬のドイツを旅した際、アイスクリーム屋のある橋の上で、
共に旅した人が言っていた。
ここいらの建物は爆撃を受けても老朽化して朽ちても、また材料を調達して元と同じ形に
復帰して使い続けるのだと。
訪れたことのなかった異国の夜を眺めながら、重厚な石造りの街並みたちは
いったいいつからこの景色のままなのだろうと思いを馳せていた。

これが住宅事情や環境等熟考したうえで出来上がったものであるとは、
ど素人にもさすがに考えがたい。
もはや高さ制限などと贅沢は言わないけれど、
せめてビジュアル的に正視に耐えるものにくらいしてくれてもよかったのに。

物心ついた頃からずっとわが町が原風景として存在し愛し続けてきたが、
これに覆い尽くされた町を作品に反映させるのはさすがに・・・

だからこそ描き残しておきたい、貴重な風景たちというのがあるのだ。

お祭りどこ吹く風。

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猛烈な暑さの中、どこからかお祭りの音がどんどん言うなと思って
見やると、橋の袂からこんなのが出てきた。

この時はまだ天神祭りだと気づかず、大阪の夏の風物詩かなと
軽い気持ちで、外国人さんたちが面白がって写真を撮るのを
微笑ましげに見ていた。

私の両手には、ビニール袋ぱんぱんのキャンバスの束。
個展が終わり、まだ下地を塗ったキャンバスはいくつかあるが、
とりあえず思いついた時に一気に仕入れてしまおうという作戦。

そしてこの光景が見えるということは、
当然仕入れ先は救世主笹部画材。
ボコボコに大人買いしても懐にやさしい、ほんとに天国のような
画材屋さんなのである。
炎天下の中こぼれそうなくらいの支持体を抱えながら、
どうかずっと潰れないでいてくださいねと呟いた。
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待井健一

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