120929_2050~01

徐々に高さがせりあがるホールも、
吊られた照明も、すぐ前に見えるオケピも、
そして上から降り注ぐ様々な色の照明もせりふの途中で
始まる歌も、全てが懐かしくて。
そんな感情と、もう何年もアトリエで創作のお供に聴き続けてきた
坂本真綾さんがほんの10メートル前で生身で歌うという
超非現実とで、最初の20分あたりはあれやこれやで
集中できなかった。

さすがに目の悪い私でも、どのような目鼻立ちをしておられるかまで
見える位置だったので、ある意味聞きなれた声ではあっても、
努力しなければそれがご本人だとは認識しきれなかった。
なかなかに得がたい体験をしたものだと思う。
持つべきものは人のご縁。
ファンクラブの幹部(?)さんに、心から感謝したい。

そしてなんだろう。
大きな感動と同時に、このほんのほんの10000分の1であっても、
舞台に立ち踊り歌いみんなで芝居を作り上げた時代があった
ことを、心から嬉しく、そして懐かしく思った。
大きな回り道といわれても、やはり没頭したこと自体に
確かに価値はあったと。

あの熱くて眩しい照明。小劇場より濃い目のメイク。
お腹から出す朗々とした歌い方。
母校を訪れて一番思い出深いところはどこですかと聞かれたら、
不謹慎な私はきっと制作室ではなく大講堂だというだろう。
膠の匂いより、あの独特の埃臭いホールの匂いに
涙するに違いない。