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ついに姿を現しやがったか、という感じ。
古い団地と夏空のコントラストに、空を遮るような形で生えてきた。

何故か蘇る記憶がある。
真冬のドイツを旅した際、アイスクリーム屋のある橋の上で、
共に旅した人が言っていた。
ここいらの建物は爆撃を受けても老朽化して朽ちても、また材料を調達して元と同じ形に
復帰して使い続けるのだと。
訪れたことのなかった異国の夜を眺めながら、重厚な石造りの街並みたちは
いったいいつからこの景色のままなのだろうと思いを馳せていた。

これが住宅事情や環境等熟考したうえで出来上がったものであるとは、
ど素人にもさすがに考えがたい。
もはや高さ制限などと贅沢は言わないけれど、
せめてビジュアル的に正視に耐えるものにくらいしてくれてもよかったのに。

物心ついた頃からずっとわが町が原風景として存在し愛し続けてきたが、
これに覆い尽くされた町を作品に反映させるのはさすがに・・・

だからこそ描き残しておきたい、貴重な風景たちというのがあるのだ。